【S】―エス―01
第10章 化け物
――駅から歩いてほどなく、目的地に辿り着く。
高校の正門に貼り出されたチラシの中央。そこにでかでかと書かれた『文化祭』の文字。
「はぁー……っ」
限られた空間を思い思いに往来し賑わう人、人、人――。今一度頭(こうべ)を垂れ盛大な溜め息をつく。
よもや何かの嫌がらせではないかと勘繰りたくもなったが、今さら考えたところで仕方ない。
さっさと顔だけ見せて帰ろうと、重たい足取りで正門をくぐる。
案の定、右も左も分からないといった始末だ。
さて、どうしたものかと辺りを見回した時、見慣れたふわりと茶色い髪の人影が映る。
振り返った人物は、紛うことなく茜だった。だがその格好はいつも目にするものと違い、全体的に黒を基調色としたメイド服。
短めのスカートの裾から覗くレース地の白いペチコート。その姿は彼女によく似合っていた。
「来てくれたんだ!」
「……まあな」
嬉しそうにこちらを覗き込む茜から、ふいと視線を逸らす。その時――、
高校の正門に貼り出されたチラシの中央。そこにでかでかと書かれた『文化祭』の文字。
「はぁー……っ」
限られた空間を思い思いに往来し賑わう人、人、人――。今一度頭(こうべ)を垂れ盛大な溜め息をつく。
よもや何かの嫌がらせではないかと勘繰りたくもなったが、今さら考えたところで仕方ない。
さっさと顔だけ見せて帰ろうと、重たい足取りで正門をくぐる。
案の定、右も左も分からないといった始末だ。
さて、どうしたものかと辺りを見回した時、見慣れたふわりと茶色い髪の人影が映る。
振り返った人物は、紛うことなく茜だった。だがその格好はいつも目にするものと違い、全体的に黒を基調色としたメイド服。
短めのスカートの裾から覗くレース地の白いペチコート。その姿は彼女によく似合っていた。
「来てくれたんだ!」
「……まあな」
嬉しそうにこちらを覗き込む茜から、ふいと視線を逸らす。その時――、