【S】―エス―01
第12章 穿つ森
諦めず、さらに奥へと生い茂る雑草を掻き分け東雲の墓碑を探す。
「――!」
昼尚暗く、鬱蒼とした森から一本だけはみ出た低い常緑樹の根元、雑草と落ち葉で存在をひた隠すかのように【それ】はあった。
小さな墓地の片隅にひっそりと存在する墓石と、それを秋色に彩る大量の落ち葉――。
瞬矢は墓石を覆うそれらをさっと手で払い、身を屈め墓碑名を確認する。だが、至るところ苔むしていて肝心の文字が読みづらい。
極力目を凝らし、なんとか確認できた『東雲』の文字。しゃがむと文字を指先で準(なぞら)えてみる。
「見つけた」
眼前の墓碑と見合った瞬矢は、悪戯っ子の如く口角をつり上げ言う。口元に湛えた微笑みは、さながら隠れんぼの相手を見つけた時のそれに近い。
木々の間からちかちかとわずかに差す木漏れ日が、墓地に降り注ぎ温かく照らす。
常緑樹の葉の陰で行ったり来たり、羽根を休めていた雀が枝を揺らし一羽飛び立つ。
「……ん? なんだこれは?」
「――!」
昼尚暗く、鬱蒼とした森から一本だけはみ出た低い常緑樹の根元、雑草と落ち葉で存在をひた隠すかのように【それ】はあった。
小さな墓地の片隅にひっそりと存在する墓石と、それを秋色に彩る大量の落ち葉――。
瞬矢は墓石を覆うそれらをさっと手で払い、身を屈め墓碑名を確認する。だが、至るところ苔むしていて肝心の文字が読みづらい。
極力目を凝らし、なんとか確認できた『東雲』の文字。しゃがむと文字を指先で準(なぞら)えてみる。
「見つけた」
眼前の墓碑と見合った瞬矢は、悪戯っ子の如く口角をつり上げ言う。口元に湛えた微笑みは、さながら隠れんぼの相手を見つけた時のそれに近い。
木々の間からちかちかとわずかに差す木漏れ日が、墓地に降り注ぎ温かく照らす。
常緑樹の葉の陰で行ったり来たり、羽根を休めていた雀が枝を揺らし一羽飛び立つ。
「……ん? なんだこれは?」