【S】―エス―01
第12章 穿つ森
再度、全貌が暴かれた墓碑に視線を落とす。
『東雲家に刹那って子がいたのは確か。だけど、その子は12年前に亡くなってるの』
頭の中で香緒里の言葉を反芻する。
いや、彼女の話を耳に入れた時から瞬矢も心のどこかで分かっていたはずだ。ただ信じたくなかったのかもしれない。
再び辺りを一望する。昨日は気づかなかったが、常緑樹の脇に人がやっと通れるほどの草木生い茂る獣道が続いていた。
道の両脇から首をもたげた木々の枝が手をこまねき、日の光を遮り鬱蒼としたトンネルを形成する。
瞬矢は、そんな先の見えぬ獣道をただ何かに導かれるまま登ってゆく。
やがて空を隠さんばかりに張り巡らされた枝葉の先から、闇を裂いて差す一条の光。
「――っ!?」
あまりの眩しさに一時の間、顔をしかめ目を細める。
眩(まばゆ)く視界を覆い尽くすほどの燦々(さんさん)とした光。それと共にぱあっと視界が拓け、眼前に見覚えのある景色が広がる。
「ここは……」
思わず足を止め、一言呟く。
倒壊した瓦礫に、天に向かって聳える焼け焦げた楓の木。そこは、以前訪れたあの屋敷跡だった。
『東雲家に刹那って子がいたのは確か。だけど、その子は12年前に亡くなってるの』
頭の中で香緒里の言葉を反芻する。
いや、彼女の話を耳に入れた時から瞬矢も心のどこかで分かっていたはずだ。ただ信じたくなかったのかもしれない。
再び辺りを一望する。昨日は気づかなかったが、常緑樹の脇に人がやっと通れるほどの草木生い茂る獣道が続いていた。
道の両脇から首をもたげた木々の枝が手をこまねき、日の光を遮り鬱蒼としたトンネルを形成する。
瞬矢は、そんな先の見えぬ獣道をただ何かに導かれるまま登ってゆく。
やがて空を隠さんばかりに張り巡らされた枝葉の先から、闇を裂いて差す一条の光。
「――っ!?」
あまりの眩しさに一時の間、顔をしかめ目を細める。
眩(まばゆ)く視界を覆い尽くすほどの燦々(さんさん)とした光。それと共にぱあっと視界が拓け、眼前に見覚えのある景色が広がる。
「ここは……」
思わず足を止め、一言呟く。
倒壊した瓦礫に、天に向かって聳える焼け焦げた楓の木。そこは、以前訪れたあの屋敷跡だった。