【S】―エス―01
第14章 闇を照らす光
自分がなぜこうまで彼に執着するのか不明であったが、どちらにせよあまりいい気はしなかった。
当の香緒里は一瞬「あら」と目を少し開き、やがて口角をつり上げ宣(のたま)う。
「随分と分かり易い反応するのね。あなたも」
からかうような口調で口元に軽く握った右手をあて、くすくすと笑う。
香緒里は、同性の茜から見ても美人の部類である。凛とした佇まいと所作からは、自分とは違うどこか大人びた雰囲気が漂っていた。
茜の心境を察してか、香緒里は口元にあてていた右手をすっと下ろし柔らかな微笑へと変え言葉を紡ぐ。
「安心して。もう彼のことは追ってない。それに、私には持て余してしまうから」
彼女曰く、10年前の父親の情報と引き換えに協力することになったと話し、一旦言葉を途切れさせる。
やがてどこか遠くに視線を送り「彼が弟と同じなら、少なからずそこに闇がある」そう言ったのだ。
そして、遠くにやった視線を茜へと移し続ける。
「彼にはあなたが必要よ」
「私が……?」
彼女の言葉の意図するものが分からず、茜は小首を傾げる。
当の香緒里は一瞬「あら」と目を少し開き、やがて口角をつり上げ宣(のたま)う。
「随分と分かり易い反応するのね。あなたも」
からかうような口調で口元に軽く握った右手をあて、くすくすと笑う。
香緒里は、同性の茜から見ても美人の部類である。凛とした佇まいと所作からは、自分とは違うどこか大人びた雰囲気が漂っていた。
茜の心境を察してか、香緒里は口元にあてていた右手をすっと下ろし柔らかな微笑へと変え言葉を紡ぐ。
「安心して。もう彼のことは追ってない。それに、私には持て余してしまうから」
彼女曰く、10年前の父親の情報と引き換えに協力することになったと話し、一旦言葉を途切れさせる。
やがてどこか遠くに視線を送り「彼が弟と同じなら、少なからずそこに闇がある」そう言ったのだ。
そして、遠くにやった視線を茜へと移し続ける。
「彼にはあなたが必要よ」
「私が……?」
彼女の言葉の意図するものが分からず、茜は小首を傾げる。