テキストサイズ

【S】―エス―01

第14章 闇を照らす光

 たった一言「ええ」と答え、彼女自身が見たことを思い出すように半目し言葉を続ける。


 オレンジ色の夕日が自然と表情に影を作り、より美しさを際立たせた。


「進むべき道を違わないよう、傍で照らしてあげる人間が。彼が自身に巣食う闇に飲まれないようにね」


 そこで言葉を切り、くるりと茜に背を向け、


「まっ、どうするかは自分で考えなさい」


 ひらり、左手を軽く振ってみせる。


 彼女の言葉を呑み込むことで精一杯だった茜は、去ってゆく香緒里の後ろ姿を、ただただぽかんと見つめていた。




     **

ストーリーメニュー

TOPTOPへ