【S】―エス―01
第14章 闇を照らす光
ぽつりぽつり、蝋燭の芯の部分に暖かなオレンジ色の火が灯る。
「けど、ついででもこんなふうに人から祝ってもらうなんて何年振りかな。でも――」
言いかけた言葉を、ふっと喉の奥へと押し込むように溜飲した。
「……でも?」
茜は小首を傾げて彼が言いかけた言葉の続きを問う。
それを見て相槌を打つようにひとつ頷いた彼は、ゆらゆらと揺れる蝋燭の火を黒い瞳に映し続ける。
「でもあいつには、こうやって一緒に何かを祝ってくれる奴、いたのかな……って」
その言葉に茜は、はっと目を見開く。
自分は瞬矢のことばかり考えていた。なのに瞬矢は、刹那のことまでも考えている。
当たり前だ。例えどんな人間だったとしても、唯一血を分けた弟なのだから。
あの櫻井とかいう男は、どうだったのだろう。
もし刹那に、彼に喜びも悲しみもその全てを心より共有し合える者がいなかったとしたら……。
きっと耐えられないだろう。そう考えた時、胸中とても苦しくなり、茜は両手を膝の上で握り締めた。
「けど、ついででもこんなふうに人から祝ってもらうなんて何年振りかな。でも――」
言いかけた言葉を、ふっと喉の奥へと押し込むように溜飲した。
「……でも?」
茜は小首を傾げて彼が言いかけた言葉の続きを問う。
それを見て相槌を打つようにひとつ頷いた彼は、ゆらゆらと揺れる蝋燭の火を黒い瞳に映し続ける。
「でもあいつには、こうやって一緒に何かを祝ってくれる奴、いたのかな……って」
その言葉に茜は、はっと目を見開く。
自分は瞬矢のことばかり考えていた。なのに瞬矢は、刹那のことまでも考えている。
当たり前だ。例えどんな人間だったとしても、唯一血を分けた弟なのだから。
あの櫻井とかいう男は、どうだったのだろう。
もし刹那に、彼に喜びも悲しみもその全てを心より共有し合える者がいなかったとしたら……。
きっと耐えられないだろう。そう考えた時、胸中とても苦しくなり、茜は両手を膝の上で握り締めた。