
【S】―エス―01
第15章 宝探し
「宝探しって……」今さら何を言っているのかと怪訝そうな母親の声を背に受け、玄関から庭先に出る。
桜の木の側にある焼き煉瓦で作られた花壇の端には、黄緑色のスコップが置いてあった。
香緒里は黄緑色のスコップを手に、桜の木と先ほどまでいた2階の窓を交互に見やり考える。
きっと父も、あの窓から桜の木を見てこの場所へ隠すことを思いついたのだろうと。
この場所のどこを探せばいいか、とうに分かっていた。桜の木を正面から見た際、ちょうどSの字になる幹の根元。
香緒里はそこにしゃがみ込み、手にしたスコップで土を抉(えぐ)る。
一心不乱に地面を掘り返していると、やがてスコップの先が土とは違う何か硬い物に当たる。
持っていたスコップを放り、幼い頃のように両手を泥まみれにしながらスーツが汚れることもいとわず、一心不乱に土を掻き出す。
土を被り所々茶色く錆び付いた鈍色の空き箱。周りについた土を払いのけ、それを取り出した。
箱を軽く揺すってみると、中で何かが振れる音がする。
桜の木の側にある焼き煉瓦で作られた花壇の端には、黄緑色のスコップが置いてあった。
香緒里は黄緑色のスコップを手に、桜の木と先ほどまでいた2階の窓を交互に見やり考える。
きっと父も、あの窓から桜の木を見てこの場所へ隠すことを思いついたのだろうと。
この場所のどこを探せばいいか、とうに分かっていた。桜の木を正面から見た際、ちょうどSの字になる幹の根元。
香緒里はそこにしゃがみ込み、手にしたスコップで土を抉(えぐ)る。
一心不乱に地面を掘り返していると、やがてスコップの先が土とは違う何か硬い物に当たる。
持っていたスコップを放り、幼い頃のように両手を泥まみれにしながらスーツが汚れることもいとわず、一心不乱に土を掻き出す。
土を被り所々茶色く錆び付いた鈍色の空き箱。周りについた土を払いのけ、それを取り出した。
箱を軽く揺すってみると、中で何かが振れる音がする。
