
【S】―エス―01
第16章 雪の降る夜
時間帯もあってか、店内に客は瞬矢を含めて2、3人しかいない。
冷気漂う陳列棚からアイスを適当に取り、レジへと向かう。
「……っ!」
「えっ」
……茜だった。
彼女は、肩までの茶色い髪の毛を後ろでひとつに括っていた。その為、いつもと雰囲気が違っていたので気づかなかったのだ。
一瞬視線が合い、両者共々に目を見開く。2人の間にしばしの沈黙を生み出す。
沈黙を打ち破り、先に堰を切ったのは茜。
「アイス温めますか?」
にっこりと笑みを崩さない。実に見事な営業スマイルだ。
「……お前、それ嫌がらせか?」
そんなことをしたら、折角のアイスが訳の分からない物体になってしまう。否、温めていいはずがない。
「まさか」
続けて「冗談だって」とアイスをビニール袋に詰めながら、くすりと笑う。
軽く嘲笑を浮かべた瞬矢は清算を済ませ、いつあがれるか訊ねる。
「んー、ちょっと待ってて」
茜は少し考え背後の時計を見るとそう言い残し、小走りで奥へと消えていった。
**
冷気漂う陳列棚からアイスを適当に取り、レジへと向かう。
「……っ!」
「えっ」
……茜だった。
彼女は、肩までの茶色い髪の毛を後ろでひとつに括っていた。その為、いつもと雰囲気が違っていたので気づかなかったのだ。
一瞬視線が合い、両者共々に目を見開く。2人の間にしばしの沈黙を生み出す。
沈黙を打ち破り、先に堰を切ったのは茜。
「アイス温めますか?」
にっこりと笑みを崩さない。実に見事な営業スマイルだ。
「……お前、それ嫌がらせか?」
そんなことをしたら、折角のアイスが訳の分からない物体になってしまう。否、温めていいはずがない。
「まさか」
続けて「冗談だって」とアイスをビニール袋に詰めながら、くすりと笑う。
軽く嘲笑を浮かべた瞬矢は清算を済ませ、いつあがれるか訊ねる。
「んー、ちょっと待ってて」
茜は少し考え背後の時計を見るとそう言い残し、小走りで奥へと消えていった。
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