
【S】―エス―01
第17章 困惑
◇4
茜と離れ1人となった瞬矢は、あの屋敷跡に向け車を走らせる。全てはあの場所にある、そんな気がした。
21日、新田 香緒里から新たな【S】の情報について連絡を受けていた。同日、その情報を得る為に待ち合わせたのだが……、約束の場所に彼女は現れなかった。
森と道路以外は目立って何もない林道の先を、ヘッドライトだけが煌々と照らす。
『――……好きなの瞬矢のこと。だから――!』
去り際に打ち明けられた茜の言葉がよぎる。
「だから――」その後に彼女はいったい何を言おうとしたのだろう。
思い返せば、どんな時も彼女は傍にいて明るく照らしてくれていた。
あの時、必死になり止める茜の手を振りほどいた自身の左手を視界に捉える。
少しきつく言い過ぎたかもしれない。だが、自分といるよりもそうした方が、そうすることでそれ以上彼女が傷つかないのなら……。
胸の奥をきつく締め付けられるようなやるせなさが襲う。左手に残る温もりをぐしゃりと握り潰し、ハンドルを右に切る。
茜と離れ1人となった瞬矢は、あの屋敷跡に向け車を走らせる。全てはあの場所にある、そんな気がした。
21日、新田 香緒里から新たな【S】の情報について連絡を受けていた。同日、その情報を得る為に待ち合わせたのだが……、約束の場所に彼女は現れなかった。
森と道路以外は目立って何もない林道の先を、ヘッドライトだけが煌々と照らす。
『――……好きなの瞬矢のこと。だから――!』
去り際に打ち明けられた茜の言葉がよぎる。
「だから――」その後に彼女はいったい何を言おうとしたのだろう。
思い返せば、どんな時も彼女は傍にいて明るく照らしてくれていた。
あの時、必死になり止める茜の手を振りほどいた自身の左手を視界に捉える。
少しきつく言い過ぎたかもしれない。だが、自分といるよりもそうした方が、そうすることでそれ以上彼女が傷つかないのなら……。
胸の奥をきつく締め付けられるようなやるせなさが襲う。左手に残る温もりをぐしゃりと握り潰し、ハンドルを右に切る。
