【S】―エス―01
第3章 亡霊からの手紙
――同日、午後3時30分。
暖かな日差しに溢れる午後の公園は例の事件のこともあってかあまり人がおらず、閑散とした空気を醸し出す。
ただ、遊歩道に沿って点々と並ぶ桜の木は辺りを薄紅色に染めていた。
ふっと視界の端によぎったのは、一羽の黒い揚羽蝶。
暖かな日の光を受けて、その翅に纏った輪粉を煌めかせる。その姿は実に艶やかで、あれは本物の蝶なのだろうかと錯覚してしまうほどだ。
頬を撫でる春風が瞬矢の着ていた濃紺のジャケットに温もりを感じさせる中、舞い散る桜の花びらを眺めながら前を歩く茜に訊ねる。
「どうして急にあんなこと言い出したんだ?」
すると彼女は枝先についた花を見つめ、少なからずの考える素振りを窺わせ開口した。
「んー、もし本当に双子なら、記憶の共感や共有が出来るんじゃないかって」
「なるほど」
感心と呆れが入り混ざった溜め息をつく。瞬矢自身、今までそのようなこと気にも留めず過ごしてきたのだ。
「でも、そんな簡単に上手くいくとは限ら……な……」
それは、突如生じた異変。
暖かな日差しに溢れる午後の公園は例の事件のこともあってかあまり人がおらず、閑散とした空気を醸し出す。
ただ、遊歩道に沿って点々と並ぶ桜の木は辺りを薄紅色に染めていた。
ふっと視界の端によぎったのは、一羽の黒い揚羽蝶。
暖かな日の光を受けて、その翅に纏った輪粉を煌めかせる。その姿は実に艶やかで、あれは本物の蝶なのだろうかと錯覚してしまうほどだ。
頬を撫でる春風が瞬矢の着ていた濃紺のジャケットに温もりを感じさせる中、舞い散る桜の花びらを眺めながら前を歩く茜に訊ねる。
「どうして急にあんなこと言い出したんだ?」
すると彼女は枝先についた花を見つめ、少なからずの考える素振りを窺わせ開口した。
「んー、もし本当に双子なら、記憶の共感や共有が出来るんじゃないかって」
「なるほど」
感心と呆れが入り混ざった溜め息をつく。瞬矢自身、今までそのようなこと気にも留めず過ごしてきたのだ。
「でも、そんな簡単に上手くいくとは限ら……な……」
それは、突如生じた異変。