
【S】―エス―01
第18章 影の命
棚に腰かけ、眼鏡の奥から覗く黒い瞳はどこか試すような視線。
「だいたいのことは。俺も色々訊きたいことがある」
東雲 暁は肘をついて瞬矢を見上げ、瞬矢は部屋の真ん中辺りで立ち彼を見下ろす。お互い向き合う形で対峙する。
ぴりぴりと走り抜ける緊張感。
先にそれを打ち破ったのは、他ならぬ東雲 暁。彼は瞑目し「そうか」と一言発した後、ゆっくりと瞼を持ち上げて続ける。
「さて、どこから話そうか」
「全て話す」と言ったものの、どうにも切り出し難そうな東雲 暁に対して、瞬矢はきっかけ作りに話を振る。
「裏にあった名前が塗り潰された墓石。『東雲 刹那』って彫られてた。もしかして……」
やはり訊いてきたかとばかりに、ふっと口元に笑みを浮かべる。いや、もしかすると彼は瞬矢が質問を投げかけることを分かっていたのかもしれない。
眼前の彼――東雲 暁は、相変わらずの笑みを湛えたまま答えた。
「察しのとおり。東雲 刹那は、12年前に死んだ私の息子だよ」
その回答自体は推測できていた為、別段驚くべきものでもなかった。やはり『東雲 刹那』は死んでいた、それだけのこと。
「だいたいのことは。俺も色々訊きたいことがある」
東雲 暁は肘をついて瞬矢を見上げ、瞬矢は部屋の真ん中辺りで立ち彼を見下ろす。お互い向き合う形で対峙する。
ぴりぴりと走り抜ける緊張感。
先にそれを打ち破ったのは、他ならぬ東雲 暁。彼は瞑目し「そうか」と一言発した後、ゆっくりと瞼を持ち上げて続ける。
「さて、どこから話そうか」
「全て話す」と言ったものの、どうにも切り出し難そうな東雲 暁に対して、瞬矢はきっかけ作りに話を振る。
「裏にあった名前が塗り潰された墓石。『東雲 刹那』って彫られてた。もしかして……」
やはり訊いてきたかとばかりに、ふっと口元に笑みを浮かべる。いや、もしかすると彼は瞬矢が質問を投げかけることを分かっていたのかもしれない。
眼前の彼――東雲 暁は、相変わらずの笑みを湛えたまま答えた。
「察しのとおり。東雲 刹那は、12年前に死んだ私の息子だよ」
その回答自体は推測できていた為、別段驚くべきものでもなかった。やはり『東雲 刹那』は死んでいた、それだけのこと。
