
【S】―エス―01
第18章 影の命
刹那の問いかけに、茜は肯定するかの如く押し黙る。
「本当のことを知ってたら、きっと彼も僕と同じことをしたと思うよ」
それは、彼が暗に今回の一連の事件の犯人であると認めた瞬間だった。
「あなたと彼は違う!」
例え顔が同じ双子でも、瞬矢は絶対にそんなことはしない。そう思った茜は感情のままに声を荒らげ、白いハンカチの巻かれた右手を振り払う。
払われた左手は空を撫で、茜の傍らのベッドに着地する。空いた右手はそのままに、距離を詰めて茜の瞳の奥をじっと見つめる。
「同じさ」
穏やかだが低く、端的な返答。不意に伸びた刹那の右手が頬に触れ、そのまますうっと撫で下ろした。
真っ直ぐ自分を見据える茶色いふたつの眼に捕らえられ、感覚が麻痺したみたいに体がどうしても動かない。
「……やめて」
果たして聞こえているのか、撫で下ろされた刹那の右手はそのまま下顎をくいと持ち上げ、
「彼とは、まだなんだ」
親指が下唇の輪郭をつやりと準える。そして悪戯っぽくくすりと笑い、耳元に自身の顔を滑り込ませ囁く。
「僕が全てを奪ってあげようか?」
「本当のことを知ってたら、きっと彼も僕と同じことをしたと思うよ」
それは、彼が暗に今回の一連の事件の犯人であると認めた瞬間だった。
「あなたと彼は違う!」
例え顔が同じ双子でも、瞬矢は絶対にそんなことはしない。そう思った茜は感情のままに声を荒らげ、白いハンカチの巻かれた右手を振り払う。
払われた左手は空を撫で、茜の傍らのベッドに着地する。空いた右手はそのままに、距離を詰めて茜の瞳の奥をじっと見つめる。
「同じさ」
穏やかだが低く、端的な返答。不意に伸びた刹那の右手が頬に触れ、そのまますうっと撫で下ろした。
真っ直ぐ自分を見据える茶色いふたつの眼に捕らえられ、感覚が麻痺したみたいに体がどうしても動かない。
「……やめて」
果たして聞こえているのか、撫で下ろされた刹那の右手はそのまま下顎をくいと持ち上げ、
「彼とは、まだなんだ」
親指が下唇の輪郭をつやりと準える。そして悪戯っぽくくすりと笑い、耳元に自身の顔を滑り込ませ囁く。
「僕が全てを奪ってあげようか?」
