
【S】―エス―01
第18章 影の命
再びその身に危険を感じた時には、すでに遅かった。
「……っ!?」
どさり、景色が反転し視界には覆い被さる刹那とその向こうに灰色の天井が映る。予想外の力で両腕を押さえつけられ抗えない。
「教えてあげるよ」
低く落ち着きのある囁き声は、茜に真実を告げる。その言葉を聞いた茜は、両の目をこれ以上ないほどに見開く。
それは、彼女が今まで考えもしなかった事実。
少しだけ身を起こし、ふっと緩ませた口元から息を漏らす。
「僕らは通じ合えてたんだ」
「知ってるかい?」そう言い彼は視線を游がせる。その視線は自分をすり抜け、何かを見つめていた。
「ここにいたもう1人の僕の分身、一番最初の僕――」
茜もまた刹那の見つめている先に目をやる。どこか虚ろな視線は、現在自分が身を預けている白いシーツに送られていた。
再び視線を正面に戻すと瞑目し続ける。
「……僕が、殺したんだ」
「……っ!?」
どさり、景色が反転し視界には覆い被さる刹那とその向こうに灰色の天井が映る。予想外の力で両腕を押さえつけられ抗えない。
「教えてあげるよ」
低く落ち着きのある囁き声は、茜に真実を告げる。その言葉を聞いた茜は、両の目をこれ以上ないほどに見開く。
それは、彼女が今まで考えもしなかった事実。
少しだけ身を起こし、ふっと緩ませた口元から息を漏らす。
「僕らは通じ合えてたんだ」
「知ってるかい?」そう言い彼は視線を游がせる。その視線は自分をすり抜け、何かを見つめていた。
「ここにいたもう1人の僕の分身、一番最初の僕――」
茜もまた刹那の見つめている先に目をやる。どこか虚ろな視線は、現在自分が身を預けている白いシーツに送られていた。
再び視線を正面に戻すと瞑目し続ける。
「……僕が、殺したんだ」
