【S】―エス―01
第18章 影の命
壁に反響しけたたましく鳴る携帯をポケットから取り出して着信を見ると、それは茜の携帯からだった。通話ボタンを押し耳にあてる。
「……茜?」
『……』
だが、電話の主は何も言ってはこない。……流れるしばしの沈黙。
やがて、電話の向こうの声はくすりと笑う。
『久しぶりだね』
静かにはっきりとそう言った男の声に、ぞくり、背筋が凍りつく。
明らかに茜のものではない、低くけれどもどこか中性的で、だが聞き覚えのあるその声は紛れもなく――。
「刹那!?」
刹那は携帯越しにくすくすと笑みを漏らす。
「茜……、茜はどうした!?」
思わず携帯の通話口に向かって噛みつく。
『……。君がいけないんだよ』
一瞬黙り込んだ後、ぽつりとごちた彼はきっと、電話の向こうであの三日月のような笑みを浮かべているのだろう。
通話がぷつりと切れ、同時にひとつの画像が送られてくる。
添付ファイルを開くとそこには、薄暗い部屋の片隅で白いベッドに横たわる赤いコートを着た茜の姿が写されていた。
「……茜?」
『……』
だが、電話の主は何も言ってはこない。……流れるしばしの沈黙。
やがて、電話の向こうの声はくすりと笑う。
『久しぶりだね』
静かにはっきりとそう言った男の声に、ぞくり、背筋が凍りつく。
明らかに茜のものではない、低くけれどもどこか中性的で、だが聞き覚えのあるその声は紛れもなく――。
「刹那!?」
刹那は携帯越しにくすくすと笑みを漏らす。
「茜……、茜はどうした!?」
思わず携帯の通話口に向かって噛みつく。
『……。君がいけないんだよ』
一瞬黙り込んだ後、ぽつりとごちた彼はきっと、電話の向こうであの三日月のような笑みを浮かべているのだろう。
通話がぷつりと切れ、同時にひとつの画像が送られてくる。
添付ファイルを開くとそこには、薄暗い部屋の片隅で白いベッドに横たわる赤いコートを着た茜の姿が写されていた。