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【S】―エス―01

第19章 真相、そして――

 香緒里は真実に目を見開き、声すら出せずにいた。沸き上がる憎悪。だがその反面、不思議と心のどこかで憎みきれないでいたのだ。


 刹那はそんな彼女の心の内を見透かしたかの如く、わずかに口角をつり上げくすりと微笑み、そして背を向ける。


 「ああ、そうだ」踵を返したかと思えば入り口で立ち止まり、ひょいと顔だけを向け一言。


「さっき知らせたから、そろそろ来るんじゃないかな」


 そう言い残し、彼は静寂なる宵闇の中へと消えていった――。



 目的なき犯行、自己の証明。ならばこんなまどろっこしいことをせず、すぐにでも殺せばいいはず。


(だとすると、彼の狙いは……)


 不意に手を伸ばすと、がさ……、無機質な何かが指先に触れる。背後に視線を送ると、何かを山積みにしたその上に覆い被さるブルーシート。


 その端から、青白い小枝のようなものがちらりと覗く。眉をひそめ、訝りながらも背後のブルーシートを掴み思い切って捲った。


「――!」


 暴かれそこに映ったものに、香緒里は再び目を見開き息を呑む。


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