【S】―エス―01
第20章 対峙
――外は明かりひとつない真の闇夜が蔓延っていた。
「じゃあ、俺もあいつも追跡装置は同じ場所に?」
屋敷跡を出て細い林道を通りながら、瞬矢は少し前を歩く東雲 暁に対して、体内に埋め込まれた追跡装置の場所を訊いていた。
やがて「ああ」と答え、前方を歩いていた彼の足取りがぴたりと止まる。
「もうひとつは――」
一拍置いて彼は振り返り、すっと自身の左肩の辺りを指差す。
「左胸の辺りにある、製造ナンバーの刻印の下だよ」
木々はざわめき、背後に枝葉と雲の隙間から顔を覗かせた三日月が照らした。再びくるりと前へ向き直る。
「ああ。でも、確か君のはあの時の火事で消失したんだったかな」
思い出したように呟き右手を持ち上げる。瞬矢からは彼の背中と声色しか窺えないが、恐らくは軽く握った右手を口元へ当てているのだろう。
「……」
歩みを止めた瞬矢はおもむろに視線を落とし、自らの右手で火傷の痕が残る左肩から胸の辺りを押さえる。
「じゃあ、俺もあいつも追跡装置は同じ場所に?」
屋敷跡を出て細い林道を通りながら、瞬矢は少し前を歩く東雲 暁に対して、体内に埋め込まれた追跡装置の場所を訊いていた。
やがて「ああ」と答え、前方を歩いていた彼の足取りがぴたりと止まる。
「もうひとつは――」
一拍置いて彼は振り返り、すっと自身の左肩の辺りを指差す。
「左胸の辺りにある、製造ナンバーの刻印の下だよ」
木々はざわめき、背後に枝葉と雲の隙間から顔を覗かせた三日月が照らした。再びくるりと前へ向き直る。
「ああ。でも、確か君のはあの時の火事で消失したんだったかな」
思い出したように呟き右手を持ち上げる。瞬矢からは彼の背中と声色しか窺えないが、恐らくは軽く握った右手を口元へ当てているのだろう。
「……」
歩みを止めた瞬矢はおもむろに視線を落とし、自らの右手で火傷の痕が残る左肩から胸の辺りを押さえる。