
【S】―エス―01
第20章 対峙
床に向けられていた懐中電灯を正面に翳(かざ)し、目の前の廊下を左へと曲がる。
まずは向かって右側の部屋からだ。一見代わり映えしないドアノブに手をかけ、それと共に全身をすっと走り抜ける緊張感。
そのせいか急激な喉の渇きを覚え、ごくりと唾を飲む。
高まる鼓動と呼吸に合わせ、取っ手を捻りドアを開ける。部屋の中はしんと静まり返り、人の気配は感じられない。
念の為、部屋の隅々をまんべんなく照らしてみる。――が、やはり誰もいないようだ。
右の奥隅に、どこぞを解体した際に出たのだろう廃材が積まれている。
どこからか隙間風が吹き込み、より部屋が無人である空虚感を際立たせた。
(……違ったか)
踵を返し反対側のドアへ。
先ほどの部屋に比べかなり狭い。埃っぽさは相変わらずで、どうやらこちらは清掃用具などを入れておく倉庫になっているようだ。
となると、残るは右側の通路のみ。清掃用具などが詰め込まれた倉庫の前を離れ、先刻上ってきた階段の前を通り過ぎる。
当初は懐中電灯の明かりだけが頼りだったこの目も、今ではだいぶ闇に慣れてきた。
まずは向かって右側の部屋からだ。一見代わり映えしないドアノブに手をかけ、それと共に全身をすっと走り抜ける緊張感。
そのせいか急激な喉の渇きを覚え、ごくりと唾を飲む。
高まる鼓動と呼吸に合わせ、取っ手を捻りドアを開ける。部屋の中はしんと静まり返り、人の気配は感じられない。
念の為、部屋の隅々をまんべんなく照らしてみる。――が、やはり誰もいないようだ。
右の奥隅に、どこぞを解体した際に出たのだろう廃材が積まれている。
どこからか隙間風が吹き込み、より部屋が無人である空虚感を際立たせた。
(……違ったか)
踵を返し反対側のドアへ。
先ほどの部屋に比べかなり狭い。埃っぽさは相変わらずで、どうやらこちらは清掃用具などを入れておく倉庫になっているようだ。
となると、残るは右側の通路のみ。清掃用具などが詰め込まれた倉庫の前を離れ、先刻上ってきた階段の前を通り過ぎる。
当初は懐中電灯の明かりだけが頼りだったこの目も、今ではだいぶ闇に慣れてきた。
