
【S】―エス―01
第20章 対峙
彼は、口角をつり上げ笑みを浮かべる。何か含みを持たせたような笑みを。
次に視えたのは、部屋の中で刹那がコートからボタンをひとつ切り取り手にする姿。
彼は、ボタンを置いた床から視線を上向け笑う。屈んだまま見せるそれは、どこか挑戦的ともいえる笑みであった。
――集中した意識を現実へと戻し、瞬矢は再び瞼を持ち上げる。
(ああ分かったよ。待っていろ、今そこへ行って決着をつけてやる!)
強い意志を宿した黒水晶のような双眸で、きっと廊下の奥を見据えた。左手を握り締め、意識下において視た場所を目指して突き進む。
向かって左側にある奥から2番目の部屋の前で立ち止まる。
立ち止まってすぐ懐中電灯の明かりを消した。このドアの向こうが明るいことを、すでに知っていたからだ。
左手に握り締めたメモ用紙とボタンを、着ていた黒いコートのポケットに捩じ込み、その空いた手でドアノブを掴む。
ひとつ呼吸を整え勢いよくドアを開ける。
暗闇から一転、眩い光に目を細める。
恐らくブレーカー操作だろう。無機質だが、闇を暴く蛍光灯の白っぽい光が部屋を照らす。
次に視えたのは、部屋の中で刹那がコートからボタンをひとつ切り取り手にする姿。
彼は、ボタンを置いた床から視線を上向け笑う。屈んだまま見せるそれは、どこか挑戦的ともいえる笑みであった。
――集中した意識を現実へと戻し、瞬矢は再び瞼を持ち上げる。
(ああ分かったよ。待っていろ、今そこへ行って決着をつけてやる!)
強い意志を宿した黒水晶のような双眸で、きっと廊下の奥を見据えた。左手を握り締め、意識下において視た場所を目指して突き進む。
向かって左側にある奥から2番目の部屋の前で立ち止まる。
立ち止まってすぐ懐中電灯の明かりを消した。このドアの向こうが明るいことを、すでに知っていたからだ。
左手に握り締めたメモ用紙とボタンを、着ていた黒いコートのポケットに捩じ込み、その空いた手でドアノブを掴む。
ひとつ呼吸を整え勢いよくドアを開ける。
暗闇から一転、眩い光に目を細める。
恐らくブレーカー操作だろう。無機質だが、闇を暴く蛍光灯の白っぽい光が部屋を照らす。
