【S】―エス―01
第21章 崩壊
刹那は腹を抱えるように身を屈め、左手の指先で口の端に滲む血を拭う。
「ふっ、はは……っ!」
俯きその手で顔半分を覆い、糸が切れたように笑い始めた。
「相変わらず泣き虫だなぁ。ねぇ『瞬矢』、そう思う――!?」
けれども、いるはずの場所に瞬矢はおらず……。壁に突き刺さる血のついた鉄骨だけが残されていた。
(えっ、いない?)
ふっと目の前が暗くなり、天を仰ぐと影が差した頭上から瞬矢が一気に肉薄し、大きなモーションで振り被る。
「――!」
予想外の一撃に、刹那はわずかに反応が遅れる。
立ち上る粉塵。
振り下ろされた鉄パイプは、ゆうにコンクリートの床を打ち砕く。
「瞬……矢?」
茜は目をしばたたかせ、ひとつ呆けた声を上げて眼前の彼を見つめる。
体勢を低く屈めたまま淡い水色の瞳で飛散したコンクリート片の合間からぎろりと刹那をねめつけ、もう一撃。
だが、その一撃も刹那には見切られていた。彼は半歩後退しながら、攻撃が繰り出されるぎりぎりのところで薄紫色の双眸をかっと見開く。
(動きを読まれてる!)
「ふっ、はは……っ!」
俯きその手で顔半分を覆い、糸が切れたように笑い始めた。
「相変わらず泣き虫だなぁ。ねぇ『瞬矢』、そう思う――!?」
けれども、いるはずの場所に瞬矢はおらず……。壁に突き刺さる血のついた鉄骨だけが残されていた。
(えっ、いない?)
ふっと目の前が暗くなり、天を仰ぐと影が差した頭上から瞬矢が一気に肉薄し、大きなモーションで振り被る。
「――!」
予想外の一撃に、刹那はわずかに反応が遅れる。
立ち上る粉塵。
振り下ろされた鉄パイプは、ゆうにコンクリートの床を打ち砕く。
「瞬……矢?」
茜は目をしばたたかせ、ひとつ呆けた声を上げて眼前の彼を見つめる。
体勢を低く屈めたまま淡い水色の瞳で飛散したコンクリート片の合間からぎろりと刹那をねめつけ、もう一撃。
だが、その一撃も刹那には見切られていた。彼は半歩後退しながら、攻撃が繰り出されるぎりぎりのところで薄紫色の双眸をかっと見開く。
(動きを読まれてる!)