【S】―エス―01
第21章 崩壊
◇2
それはほんの数分前に遡る。
「――刹那あぁ!」
響く慟哭。
同時に瞬矢は、自身の内側から溢れ出る衝動的な力を感じていた。それは以前にも感じたことのあるもの。
『――力は使うな』
その言葉も理由すらも忘れ、ただ目の前の現状をどうにか打開できるなら……それだけがあった。
轟音と共に自身を阻む鉄材は吹き飛ばされ、一部は自由を得る。
(……これなら)
解放された右手で鉄骨を抜き取る。
傷口から出血するが、細胞の活性化により高速再生されてゆく。
両手で右脇腹を抉り掠めていた鉄パイプを掴み引き抜くと、思い切り背後の壁を蹴る。
力任せの跳躍は天井ぎりぎりにまで至り……。
闘争本能に任せた水色の瞳に、大きな茶色い目いっぱいに涙を溜めた茜の姿がちらりと映り、思わずはっとする。
だがもう止まらない。空中で真っ直ぐな軌道を描き、構えたそれを振り下ろした。
しかし紙一重でかわされ、鈍い音を立てて床を叩く。
「――チッ」
砕け散る大小のコンクリート片。着地と共に小さく舌打ちし、左を軸足に再度攻撃を繰り出す。
それはほんの数分前に遡る。
「――刹那あぁ!」
響く慟哭。
同時に瞬矢は、自身の内側から溢れ出る衝動的な力を感じていた。それは以前にも感じたことのあるもの。
『――力は使うな』
その言葉も理由すらも忘れ、ただ目の前の現状をどうにか打開できるなら……それだけがあった。
轟音と共に自身を阻む鉄材は吹き飛ばされ、一部は自由を得る。
(……これなら)
解放された右手で鉄骨を抜き取る。
傷口から出血するが、細胞の活性化により高速再生されてゆく。
両手で右脇腹を抉り掠めていた鉄パイプを掴み引き抜くと、思い切り背後の壁を蹴る。
力任せの跳躍は天井ぎりぎりにまで至り……。
闘争本能に任せた水色の瞳に、大きな茶色い目いっぱいに涙を溜めた茜の姿がちらりと映り、思わずはっとする。
だがもう止まらない。空中で真っ直ぐな軌道を描き、構えたそれを振り下ろした。
しかし紙一重でかわされ、鈍い音を立てて床を叩く。
「――チッ」
砕け散る大小のコンクリート片。着地と共に小さく舌打ちし、左を軸足に再度攻撃を繰り出す。