【S】―エス―01
第21章 崩壊
それらは一定の距離を置き、絶妙なバランスを保っている。
膨大な斥力のぶつかり合いによる創成。
もし、あるひとつの空間に突然別の空間が現れたら……。もとの空間は、たちまちその均衡を崩してしまう。
――即(すなわ)ち、世界(パラレル)の崩壊。
「……分かった」
そこまで聞き、瞬矢は納得せざるを得なかった。
そもそも彼は、まだ自身の中に眠る力を解放する術すら知らないのだから。
**
――喉元を締め付ける力は益々もって強まり、彼の背後に見える空間もその歪さを増していた。
口角をつり上げ目を細め、ぐいと顔を瞬矢に近づけその黒い瞳の奥を覗き値踏みする。やがて、確信を得たかのように言った。
「さっきのあれ、偶然か」
まるで興味が失せた玩具を扱うかの如き所作で左側へ払い飛ばした。体はコンクリートの床を跳ね、再び粉塵が舞い上がる。
軽く宙に跳ねた体は2メートルほど床を擦り、ぎりぎり茜の手前で止まった。
「――、瞬矢っ!?」
膨大な斥力のぶつかり合いによる創成。
もし、あるひとつの空間に突然別の空間が現れたら……。もとの空間は、たちまちその均衡を崩してしまう。
――即(すなわ)ち、世界(パラレル)の崩壊。
「……分かった」
そこまで聞き、瞬矢は納得せざるを得なかった。
そもそも彼は、まだ自身の中に眠る力を解放する術すら知らないのだから。
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――喉元を締め付ける力は益々もって強まり、彼の背後に見える空間もその歪さを増していた。
口角をつり上げ目を細め、ぐいと顔を瞬矢に近づけその黒い瞳の奥を覗き値踏みする。やがて、確信を得たかのように言った。
「さっきのあれ、偶然か」
まるで興味が失せた玩具を扱うかの如き所作で左側へ払い飛ばした。体はコンクリートの床を跳ね、再び粉塵が舞い上がる。
軽く宙に跳ねた体は2メートルほど床を擦り、ぎりぎり茜の手前で止まった。
「――、瞬矢っ!?」