【S】―エス―01
第23章 覚醒
頭の隅々にまで響いた自身の声と記憶に、瞬矢の双眸はわずかに失いかけていた輝きを取り戻す。かっと見開かれたその瞳は、青く淡い光を帯びる。
背中から胸を貫く鉄材はそのままに、ぎろりと後方をねめつける。途端、体全体を渦のように取り巻く空気が弾け、茜に牙を剥き襲いかかる鉄材を撥ね飛ばした。
突き刺さっていた鉄材やガラス片はその端から細かく粒子分解され、傷口は瞬く間に修復、再生されてゆく。
のそりと起き上がった瞬矢は、自身を中心にゆるりと大気を纏わせながら茜の前に立ち塞がる。
はためく衣服の裂け目から覗く裂傷部分は、わずかに赤みを残すだけとなっていた。
「!?」
常識では到底あり得ない光景に、茜は瞬きも忘れて目を見開く。
「約束しただろ? 『必ず護ってみせる』って」
竜巻の終わりの如くふわりと風がやみ、淡く光る水色の瞳のまま背後の茜に微笑みかける。
「――っ! りく!?」
瞬矢は少しばかり目を見張る。
再びその名前で呼ばれるなど、ましてや自分が『りく』だと気づいているとは、今この瞬間まで思ってもいなかったからだ。
背中から胸を貫く鉄材はそのままに、ぎろりと後方をねめつける。途端、体全体を渦のように取り巻く空気が弾け、茜に牙を剥き襲いかかる鉄材を撥ね飛ばした。
突き刺さっていた鉄材やガラス片はその端から細かく粒子分解され、傷口は瞬く間に修復、再生されてゆく。
のそりと起き上がった瞬矢は、自身を中心にゆるりと大気を纏わせながら茜の前に立ち塞がる。
はためく衣服の裂け目から覗く裂傷部分は、わずかに赤みを残すだけとなっていた。
「!?」
常識では到底あり得ない光景に、茜は瞬きも忘れて目を見開く。
「約束しただろ? 『必ず護ってみせる』って」
竜巻の終わりの如くふわりと風がやみ、淡く光る水色の瞳のまま背後の茜に微笑みかける。
「――っ! りく!?」
瞬矢は少しばかり目を見張る。
再びその名前で呼ばれるなど、ましてや自分が『りく』だと気づいているとは、今この瞬間まで思ってもいなかったからだ。