【S】―エス―01
第25章 白日のもとに
再び視線を天井へと移す。「助かった」心中そう呟きながらも、先ほど見た夢が思い出される。
『夢』と一言で表現するにあたり、あまりにも現実味のあるその内容は、おおよそ瞬矢の記憶にないものであった。
ベッドから上体を起こし、思わず自らの掌を見つめる。
(今のは……、オリジナルの『刹那』の記憶?)
本来、オリジナルの記憶が引き継がれることなど科学的にあり得ない話である。だが他に説明しようもなく、今はそう考えた方が理論上辻褄が合う。
「瞬矢!」
その思考を遮断したのは、もう何度耳にしただろう……鈴の音のような、けれど愛しい自身を呼ぶ声だった。
声の主、茜は小走りで駆け寄ると、青い入院服の襟元を掴み、すがるように懐へ顔を埋める。
「――っ!?」
突然のことに瞬矢はこれ以上ないほど目を見開き身構えるが、ふっと表情を緩め茜を見下ろす。
「心配かけたな」
自身の懐に顔を埋め、安堵で咽ぶ茜の栗色の髪に触れる彼の口調は、なんとも申し訳なさげだ。
「ほんとだよ……バカ!」
『夢』と一言で表現するにあたり、あまりにも現実味のあるその内容は、おおよそ瞬矢の記憶にないものであった。
ベッドから上体を起こし、思わず自らの掌を見つめる。
(今のは……、オリジナルの『刹那』の記憶?)
本来、オリジナルの記憶が引き継がれることなど科学的にあり得ない話である。だが他に説明しようもなく、今はそう考えた方が理論上辻褄が合う。
「瞬矢!」
その思考を遮断したのは、もう何度耳にしただろう……鈴の音のような、けれど愛しい自身を呼ぶ声だった。
声の主、茜は小走りで駆け寄ると、青い入院服の襟元を掴み、すがるように懐へ顔を埋める。
「――っ!?」
突然のことに瞬矢はこれ以上ないほど目を見開き身構えるが、ふっと表情を緩め茜を見下ろす。
「心配かけたな」
自身の懐に顔を埋め、安堵で咽ぶ茜の栗色の髪に触れる彼の口調は、なんとも申し訳なさげだ。
「ほんとだよ……バカ!」