【S】―エス―01
第25章 白日のもとに
瞬矢ですら、ぎりぎり聞こえるかどうかくらいの声量で発した一言「バカ」。その言葉が今では彼女の口癖ともなっていた。
「約束しただろ? 必ず戻るって」
ふっと肩で息を吐き、茜を宥める。
「――だって、1ヶ月近くも……目、覚まさないんだもん!」
だが、一向に落ち着く気配が感じられない。加えて発せられた茜の言葉に、瞬矢は思わず我が耳を疑う。
「えっ? 1ヶ月……」
そんなに長い間眠り続けていたのかと愕然とし、ただただ懐に顔を埋めて泣き腫らす茜の姿を視界に捉える。
いつの間にか、茜を宥めすかすその手は止まっていた。
(……今日は何月何日だ?)
『1ヶ月近く』と言っていたところから、恐らく年を越した1月であることは間違いないだろう。
瞬矢の内なる疑問に答えたのは、茜の後から病室に入ってきたもう1人の人物。
「今日は1月20日よ」
病室の入り口付近から届いた、聞き覚えのある凛とした声に、瞬矢はゆっくりと顔を上げる。するとそこには新田 香緒里が立っていた。
「約束しただろ? 必ず戻るって」
ふっと肩で息を吐き、茜を宥める。
「――だって、1ヶ月近くも……目、覚まさないんだもん!」
だが、一向に落ち着く気配が感じられない。加えて発せられた茜の言葉に、瞬矢は思わず我が耳を疑う。
「えっ? 1ヶ月……」
そんなに長い間眠り続けていたのかと愕然とし、ただただ懐に顔を埋めて泣き腫らす茜の姿を視界に捉える。
いつの間にか、茜を宥めすかすその手は止まっていた。
(……今日は何月何日だ?)
『1ヶ月近く』と言っていたところから、恐らく年を越した1月であることは間違いないだろう。
瞬矢の内なる疑問に答えたのは、茜の後から病室に入ってきたもう1人の人物。
「今日は1月20日よ」
病室の入り口付近から届いた、聞き覚えのある凛とした声に、瞬矢はゆっくりと顔を上げる。するとそこには新田 香緒里が立っていた。