テキストサイズ

【S】―エス―01

第25章 白日のもとに

 よく見れば、製造番号らしき刻印がある左胸の下に、別の何かが刻印されている。ビニール越しで見えづらいが、よくよく目を凝らすと、そこには英語でこう書かれていた。


 ――【sample】と。


 【sample】……あるものの見本品などを表す時に使う単語だ。


「いったい、なんの為に?」


「……」


 香緒里たちの脳裏を、おびただしい数の疑問符が駆け巡る。


 真ん中より少し上辺りを見上げると、それらを覆うビニールの上に、黒いマジックで何か書かれたA4サイズの紙がテープで貼られていた。


 入り口から吹き込む夜風にひらひら靡くそれに、香緒里は右手を伸ばす。


 反対の手をついた際、硬直した肌の感触が透明なビニール越しにひんやりと伝わり、なんとも気味が悪い。


 なんとか掴むことができたその紙を、テープごとびりっと剥がし取り文字に目を通す。


(……漢字?)


 どうやら今度は英語ではないらしい。だが記されたその内容に香緒里は眉間に皺を寄せ、怪訝な表情で目を細める。


 A4サイズのその紙には、荒々しい筆跡でこう書かれていた。





 ――【廃棄予定】。


     **

ストーリーメニュー

TOPTOPへ