
【S】―エス―01
第27章 消えない過去
音もなく、静かに建物の奥へと走って行く少年の後を刹那もまたゆっくりと歩み追いかけるのだった。
少年の影は地下へと進む。少年を追いかけ辿り着いたそこは、全面石造りの幅2メートル、奥行きが4メートルほどの部屋であった。
壁には言葉や数字が刻まれ、足元には乾いた血痕が付着していた。
小さな明かり取りのもと、見失ったはずの少年が日の光に照らされしゃがんでおり、右手にはナイフが逆手に握られている。
少年は一心不乱に自らの左腕を切りつけていた。
無表情で、何度も何度も。
傷口からは止めどなく血が溢れ、それは刹那の顔に、服に、足元に飛び散る。
不快な、刃の先が肉に食い込み断ち切る音。
腕の傷口から溢れ散る飛沫に衣服を赤く染め、足元に血溜まりを作り、それでも傷つけることをやめようとはしない。
尋常でないその光景に、刹那は眉をひそめる。すると気配に気づいてか、繰り返しナイフを振り下ろす少年の手がぴたりと止まる。
少年はナイフを持つ手をするりと下ろし、ゆっくり、ゆっくりと振り向いた。
少年の影は地下へと進む。少年を追いかけ辿り着いたそこは、全面石造りの幅2メートル、奥行きが4メートルほどの部屋であった。
壁には言葉や数字が刻まれ、足元には乾いた血痕が付着していた。
小さな明かり取りのもと、見失ったはずの少年が日の光に照らされしゃがんでおり、右手にはナイフが逆手に握られている。
少年は一心不乱に自らの左腕を切りつけていた。
無表情で、何度も何度も。
傷口からは止めどなく血が溢れ、それは刹那の顔に、服に、足元に飛び散る。
不快な、刃の先が肉に食い込み断ち切る音。
腕の傷口から溢れ散る飛沫に衣服を赤く染め、足元に血溜まりを作り、それでも傷つけることをやめようとはしない。
尋常でないその光景に、刹那は眉をひそめる。すると気配に気づいてか、繰り返しナイフを振り下ろす少年の手がぴたりと止まる。
少年はナイフを持つ手をするりと下ろし、ゆっくり、ゆっくりと振り向いた。
