
【S】―エス―01
第4章 あかねいろ
なるほど。言われてみれば、微笑んだ際の表情、栗色の髪の毛など確かに面影がある。
「あら……?」
茜の母、東雲 夕子は瞬矢を視界に捉えて小首を傾げる。
瞬矢もつられるようにやや首を傾けて一礼し、形式的な挨拶を交わす。
「変ね、初めて会うはずなのになんだかとても懐かしい気がするわ」
茜と同じ茶色い両目で不思議そうに彼女は言う。
「きっと気のせいね」右手を口元にあて、柔らかな笑みを見せた。その柔和な笑顔に瞬矢は、幼い頃に見た母の面影を重ねはにかむ。
**
病院を出た頃には、すでに太陽は西へと傾き始めていた。
「今日はありがと」茜の言葉に、瞬矢は素っ気なく応える。
住宅街を抜け歩く茜は両目を瞑り、思い出すように宣う。
「きっと、頑張りすぎたんだと思う。突然父さんがいなくなって、それからずっと母さんと私2人だけだったから……」
ゆっくりと目を開けた茜の寂しげな横顔に、瞬矢は何も返すことができず、ただただ黙って歩く。
「あら……?」
茜の母、東雲 夕子は瞬矢を視界に捉えて小首を傾げる。
瞬矢もつられるようにやや首を傾けて一礼し、形式的な挨拶を交わす。
「変ね、初めて会うはずなのになんだかとても懐かしい気がするわ」
茜と同じ茶色い両目で不思議そうに彼女は言う。
「きっと気のせいね」右手を口元にあて、柔らかな笑みを見せた。その柔和な笑顔に瞬矢は、幼い頃に見た母の面影を重ねはにかむ。
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病院を出た頃には、すでに太陽は西へと傾き始めていた。
「今日はありがと」茜の言葉に、瞬矢は素っ気なく応える。
住宅街を抜け歩く茜は両目を瞑り、思い出すように宣う。
「きっと、頑張りすぎたんだと思う。突然父さんがいなくなって、それからずっと母さんと私2人だけだったから……」
ゆっくりと目を開けた茜の寂しげな横顔に、瞬矢は何も返すことができず、ただただ黙って歩く。
