
【S】―エス―01
第4章 あかねいろ
やがて、すぐ目の前に現れた階段の1歩手前で歩みを止める。顔を上げ、開けた視界の先に広がる光景を眺めながら茜は言った。
「だからそれまで、私が頑張らなくちゃ」
遠くで狭苦しそうに覗く夕日が、全てを橙色に染める。
「だって、くよくよしたって何も始まんないよ。前を向いて歩かなきゃ!」
振り返った彼女と沈みかけの太陽がちょうど重なり、まるで彼女自身の輝きが世界を染めているように錯覚された。
不覚にも瞬矢は、彼女と夕暮れのコントラストに見入ってしまう。
「じゃ、バイトあるから私そろそろ行くね」
そう笑顔で手を振り、軽快に目の前の階段を下りてゆく。次第に小さくなる茜の後ろ姿を見送ると、瞬矢もくるりと踵を返す。
その表情には、幾分かの笑顔が垣間見られた。
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「だからそれまで、私が頑張らなくちゃ」
遠くで狭苦しそうに覗く夕日が、全てを橙色に染める。
「だって、くよくよしたって何も始まんないよ。前を向いて歩かなきゃ!」
振り返った彼女と沈みかけの太陽がちょうど重なり、まるで彼女自身の輝きが世界を染めているように錯覚された。
不覚にも瞬矢は、彼女と夕暮れのコントラストに見入ってしまう。
「じゃ、バイトあるから私そろそろ行くね」
そう笑顔で手を振り、軽快に目の前の階段を下りてゆく。次第に小さくなる茜の後ろ姿を見送ると、瞬矢もくるりと踵を返す。
その表情には、幾分かの笑顔が垣間見られた。
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