
【S】―エス―01
第29章 S‐145
そんな願望とも喩えられる思いと共にすっと瞼を伏せると、刹那の纏っていた雰囲気ががらりと変わる。
再び見開かれた薄紫色の双眸は対岸を捉え、そのまま地を蹴る。
大空へと躍動した体は、宙でふわりと大きな弧を描く。
緩やかな軌道を描きながら降下した刹那の姿は、木々の合間に隠れ見えなくなった。誰もいなくなった丘陵地に、乾いた風が吹き抜け緑を揺らす。
――午前4時25分。そろそろ警備が交代する時間だ。
地下に続く通路の入り口となっている小屋へ行くには、あの脇を通らなくてはならない。対岸に渡った刹那は木々の合間、茂みの中からその光景を眺めている。
――『邪魔者は容赦なく消せ』。
その言葉を内で唱えた途端、刹那の表情が冷たく鋭いものへと切り替わる。
さながら捕食者の如く茂みに息を潜ませ、交代を終えようとする警備員たちを見据え、薄紫色の目をかっと見開く。
木々はざわめき、警備の人間の持っていた懐中電灯の明かりが萎縮したかのようにぷつりと切れ、辺りはまだ姿を現さない太陽の光だけという状態になった。
再び見開かれた薄紫色の双眸は対岸を捉え、そのまま地を蹴る。
大空へと躍動した体は、宙でふわりと大きな弧を描く。
緩やかな軌道を描きながら降下した刹那の姿は、木々の合間に隠れ見えなくなった。誰もいなくなった丘陵地に、乾いた風が吹き抜け緑を揺らす。
――午前4時25分。そろそろ警備が交代する時間だ。
地下に続く通路の入り口となっている小屋へ行くには、あの脇を通らなくてはならない。対岸に渡った刹那は木々の合間、茂みの中からその光景を眺めている。
――『邪魔者は容赦なく消せ』。
その言葉を内で唱えた途端、刹那の表情が冷たく鋭いものへと切り替わる。
さながら捕食者の如く茂みに息を潜ませ、交代を終えようとする警備員たちを見据え、薄紫色の目をかっと見開く。
木々はざわめき、警備の人間の持っていた懐中電灯の明かりが萎縮したかのようにぷつりと切れ、辺りはまだ姿を現さない太陽の光だけという状態になった。
