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【S】―エス―01

第4章 あかねいろ

 
「東雲 暁の居場所について教えてもらいたいんだが」


 すると彼女は目を伏せふっ……と笑みを溢し答えた。


「またえらく懐かしい名前が出てきたものね。でもね、残念ながら私は彼の居場所なんて知らないし、知りたいとも思わないわ」


 壁に凭れ腕組みをし、たがが外れたかのように続ける。


「それに、きっと彼も今回の件が片づくまで姿を現さないはずよ」


「今回の件……。まさか【S】の?」


 【S】その言葉に、真理は目を見開き明らかに表情を一変させる。


「あれの秘密を知った人間はただじゃ済まないわ。勿論、口外すら許されない」


 何か考え込むように口元に右手をあてがう。


「あなたも死にたくなかったら、この件から手を引きなさい」


 それは彼女の最大限の警告であり忠告だったのか。そう言い残し、くるりと瞬矢に背を向け裏口から建物の中へと入り姿を消した。


 だが、瞬矢は彼女の台詞がどれほどの意味を持つのか、その重大さに微塵も気づいてはいなかった。


「ご忠告どうも」


 口角をつり上げ、誰もいなくなった通用口に向かって1人投げ掛ける。
 

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