
【S】―エス―01
第29章 S‐145
誰かに名前をつけるなど初めてなのでその善し悪しまでは分からないが、少なくとも、このまま数字で呼ばれ続けるよりはましだろう。
目線と笑顔はそのままに、右手を少年『咲羅(さくら)』へと差し伸べた。
「さぁ、おいで」
咲羅は立ち上がると歩み寄り 差し出した右手に自らの左手を伸ばす。
左手首に光る銀色の腕輪を見て数字が掘られてある部分を指で準え、ゆるりと口角をつり上げる。
「これはもう、いらないね」
そう言い視線を交えると、手首から【S‐145】と刻まれた腕輪を外す。追跡装置ともなっているそれは、重力に従い落下し、冷たい音を立てて床に着地した。
最初にこの地下へと侵入してから、すでに30分近くの時が経過していた。
このままここにいては、いずれ見つかる。そうなる前に急いで脱出する必要性があった。
「さぁ、行こう」
立ち上がり繋いだ咲羅の手を引きながら踵を返す。
目線と笑顔はそのままに、右手を少年『咲羅(さくら)』へと差し伸べた。
「さぁ、おいで」
咲羅は立ち上がると歩み寄り 差し出した右手に自らの左手を伸ばす。
左手首に光る銀色の腕輪を見て数字が掘られてある部分を指で準え、ゆるりと口角をつり上げる。
「これはもう、いらないね」
そう言い視線を交えると、手首から【S‐145】と刻まれた腕輪を外す。追跡装置ともなっているそれは、重力に従い落下し、冷たい音を立てて床に着地した。
最初にこの地下へと侵入してから、すでに30分近くの時が経過していた。
このままここにいては、いずれ見つかる。そうなる前に急いで脱出する必要性があった。
「さぁ、行こう」
立ち上がり繋いだ咲羅の手を引きながら踵を返す。
