無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　前後より放たれた全ての弾丸は、螺旋の軌道を残す。


　そしてオレンジの照明のもと、艶やかな黒髪を靡(なび)かせた刹那を取り囲むように空中でぴたりと静止する。


　残された弾道に目を細め、そのひとつひとつを黙視した後、無数の銃弾の先にいる視線を送り柔らかな笑みで言った。


「返すよ」


　前方へ押し出すように伸べた掌をひらり返すと、空中で浮遊した銃弾は一斉にくるりと向きを変え寝返り、放った主に牙を剥く。


「君たちにも分かるように言ってあげる」


　一瞬だが確かに見せた笑みは内面に静かな怒りを孕ませ、刹那の瞳に宿った光は一層鋭いものへと変わる。


「エァ イスト……、ユーバー アイネム フォアブレーヒェン！(罪を贖(あがな)え！)」