【S】―エス―01
第30章 日本へ……
シャツに手をかけそっと襟を捲り左肩から胸の辺りを露にすると、そこには黒字で【S‐145】の刻印が。
咲羅の肩を押さえ、瞑目した。
かつて自分が兄と対峙した時のことを思い出し、左鎖骨と胸骨の間、丁度刻印の中央に狙いを定める。そして側に置いていたナイフを取り、そこへ突き刺す。
「かっ……!」
支えているものの咲羅の上体は左胸へかかった衝撃により一度大きく前後にぐらりと振れ、わずかに吐血した。
ナイフを引き抜くと裂傷部分に指を入れ、取り出したるは直径1センチメートルほどの丸い装置。
装置は機械的に赤い点滅を繰り返している。
指先に力を加えると、それはパキンと無機質な音を立てて瓦解した。
「うぅ……」
小さく呻き声を上げ、やや前屈みに右手で傷口を押さえる。
どくり、あふれた鮮血が伝う指の隙間。そこから覗く左胸の傷口はみるみるうちに塞がり、まるで何事もなかったかの如く再生修復された。
ただ、そこに【S‐145】の刻印はない。
最早そこに先ほどまでの苦痛に顔を歪めた姿はなく、何事もなかったかの如くけろりとした表情を見せる。
咲羅の肩を押さえ、瞑目した。
かつて自分が兄と対峙した時のことを思い出し、左鎖骨と胸骨の間、丁度刻印の中央に狙いを定める。そして側に置いていたナイフを取り、そこへ突き刺す。
「かっ……!」
支えているものの咲羅の上体は左胸へかかった衝撃により一度大きく前後にぐらりと振れ、わずかに吐血した。
ナイフを引き抜くと裂傷部分に指を入れ、取り出したるは直径1センチメートルほどの丸い装置。
装置は機械的に赤い点滅を繰り返している。
指先に力を加えると、それはパキンと無機質な音を立てて瓦解した。
「うぅ……」
小さく呻き声を上げ、やや前屈みに右手で傷口を押さえる。
どくり、あふれた鮮血が伝う指の隙間。そこから覗く左胸の傷口はみるみるうちに塞がり、まるで何事もなかったかの如く再生修復された。
ただ、そこに【S‐145】の刻印はない。
最早そこに先ほどまでの苦痛に顔を歪めた姿はなく、何事もなかったかの如くけろりとした表情を見せる。