
【S】―エス―01
第30章 日本へ……
◇3
――201X年 7月2日。
瞬矢たちに連絡をつけ、日本への渡航が決まった。
だが事前に咲羅のパスポート申請など色々と準備しなければならない。
発行されるまでに1週間、瞬矢たちの都合も考慮し、全てが整うのは7月の中旬以降になるだろう。
咲羅は、刹那たちの遠縁ということになっている。幸い顔が似ている為、怪しまれることもない。
1週間後、ようやく発行された臙脂色のパスポートの姓には、ローマ字で『斎藤』と綴られていた。
306号室の部屋で瞬矢たちに大まかな予定をメールで伝え、携帯を仕舞った刹那は部屋の奥をちらと見やる。
咲羅は窓際へと持ってきた椅子に上り、そこから興味深げに街の様子を眺めている。その服装は、ネッカー渓谷の地下施設を抜け出しここへ来た時のままだ。
(このままって訳にもいかないだろうし……、となると、色々用意しないとな……)
考えた末に「よし!」と自身を奮い立たせる一声を発し、
「咲羅! ショッピングだ!」
刹那は、窓際で市販のサンドイッチを頬張り、外の光景を眺めている咲羅に景気よく呼びかけた。
「しょっぴんぐ?」
――201X年 7月2日。
瞬矢たちに連絡をつけ、日本への渡航が決まった。
だが事前に咲羅のパスポート申請など色々と準備しなければならない。
発行されるまでに1週間、瞬矢たちの都合も考慮し、全てが整うのは7月の中旬以降になるだろう。
咲羅は、刹那たちの遠縁ということになっている。幸い顔が似ている為、怪しまれることもない。
1週間後、ようやく発行された臙脂色のパスポートの姓には、ローマ字で『斎藤』と綴られていた。
306号室の部屋で瞬矢たちに大まかな予定をメールで伝え、携帯を仕舞った刹那は部屋の奥をちらと見やる。
咲羅は窓際へと持ってきた椅子に上り、そこから興味深げに街の様子を眺めている。その服装は、ネッカー渓谷の地下施設を抜け出しここへ来た時のままだ。
(このままって訳にもいかないだろうし……、となると、色々用意しないとな……)
考えた末に「よし!」と自身を奮い立たせる一声を発し、
「咲羅! ショッピングだ!」
刹那は、窓際で市販のサンドイッチを頬張り、外の光景を眺めている咲羅に景気よく呼びかけた。
「しょっぴんぐ?」
