
【S】―エス―01
第31章 ハローバイバイ
漂う重苦しい空気に茜は、まだ2年前の軋轢(あつれき)が拭い去れていないのではないかと肝を冷やす。
「……セツナ?」
たった一言、重苦しい沈黙をいとも容易に打ち破った存在。ひょっこり顔を覗かせた咲羅が、同じ顔の刹那と瞬矢を交互に見比べる。
「――! 誰だこの子供? まさか……!?」
背後からひょっこりと現れた歳の頃10歳ほどの刹那とそっくりな少年に瞬矢は驚き後ずさる。
「そんな訳ないでしょ! 兄弟なんだから。自分の歳も忘れたの!?」
果たして冗談なのか本気なのか。瞬矢の素っ惚けた問いに、すかさず突っ込む茜。
刹那も、多少なりとも驚くだろうことは予想していた。だが予想の遥か斜め上をゆく瞬矢の反応に苦笑しつつ、はにかむ咲羅の背中を押す。
「この子は、僕や兄さんと同じ――咲羅(さくら)っていうんだ。ちょっと事情があってね」
「事情?」
含みを持たせた刹那の言葉に、わずかに眉根を寄せ、その裏に隠された真意を探ろうとする瞬矢。
咲羅の前で話すことに躊躇(ためら)いがあったのだろう。刹那は「後で話すよ」そう言い逆光の中、今一度笑みを浮かべる。
「……セツナ?」
たった一言、重苦しい沈黙をいとも容易に打ち破った存在。ひょっこり顔を覗かせた咲羅が、同じ顔の刹那と瞬矢を交互に見比べる。
「――! 誰だこの子供? まさか……!?」
背後からひょっこりと現れた歳の頃10歳ほどの刹那とそっくりな少年に瞬矢は驚き後ずさる。
「そんな訳ないでしょ! 兄弟なんだから。自分の歳も忘れたの!?」
果たして冗談なのか本気なのか。瞬矢の素っ惚けた問いに、すかさず突っ込む茜。
刹那も、多少なりとも驚くだろうことは予想していた。だが予想の遥か斜め上をゆく瞬矢の反応に苦笑しつつ、はにかむ咲羅の背中を押す。
「この子は、僕や兄さんと同じ――咲羅(さくら)っていうんだ。ちょっと事情があってね」
「事情?」
含みを持たせた刹那の言葉に、わずかに眉根を寄せ、その裏に隠された真意を探ろうとする瞬矢。
咲羅の前で話すことに躊躇(ためら)いがあったのだろう。刹那は「後で話すよ」そう言い逆光の中、今一度笑みを浮かべる。
