
【S】―エス―01
第31章 ハローバイバイ
◇2
午後9時40分。
瞬矢と刹那は1階の広い居間に集う。
部屋を用意する間に、咲羅は横になっても十分余りあるゆったりとしたソファの上で深い眠りに落ちていた。
テーブルの前、ウッド調の椅子に座った瞬矢は、同じくソファの傍らにある椅子に腰かけた刹那から事のいきさつを聞かされる。
今までどこにおり、如何にしてこの少年と共に行動することになったか。そして咲羅を造り出したであろうハロルドという男のことを。
「咲羅の数字、いくつだったと思う?」
不意に刹那が、傍らで毛布にくるまり眠る咲羅へ視線を落とし訊ねてきた。黙して答えを待つと、咲羅を見下ろす形で椅子の手摺りに頬づえをつき開口する。
「【S‐145】だよ」
それは自分たちの製造番号。つまり咲羅が145番目であることを意味していた。
勿論、咲羅が最後の1人であるかどうかは分からない。
「そうか。でも――」
ソファの上で規則的な寝息を立てる咲羅を見やり、言いかけた言葉を呑み込む。
そう、瞬矢は気づいていた。刹那の連れて来たこの少年、咲羅がくすりとも笑わないことに。
午後9時40分。
瞬矢と刹那は1階の広い居間に集う。
部屋を用意する間に、咲羅は横になっても十分余りあるゆったりとしたソファの上で深い眠りに落ちていた。
テーブルの前、ウッド調の椅子に座った瞬矢は、同じくソファの傍らにある椅子に腰かけた刹那から事のいきさつを聞かされる。
今までどこにおり、如何にしてこの少年と共に行動することになったか。そして咲羅を造り出したであろうハロルドという男のことを。
「咲羅の数字、いくつだったと思う?」
不意に刹那が、傍らで毛布にくるまり眠る咲羅へ視線を落とし訊ねてきた。黙して答えを待つと、咲羅を見下ろす形で椅子の手摺りに頬づえをつき開口する。
「【S‐145】だよ」
それは自分たちの製造番号。つまり咲羅が145番目であることを意味していた。
勿論、咲羅が最後の1人であるかどうかは分からない。
「そうか。でも――」
ソファの上で規則的な寝息を立てる咲羅を見やり、言いかけた言葉を呑み込む。
そう、瞬矢は気づいていた。刹那の連れて来たこの少年、咲羅がくすりとも笑わないことに。
