
【S】―エス―01
第4章 あかねいろ
時刻は午後の3時を過ぎ、資料に纏(まと)める。
メモの右端には『Level 3』という文字が書き足されてあった。あの時、わずかに聞き取れた言葉を忘れないように瞬矢が自ら書き足したのだ。
携帯を取り、あらかじめ訊いておいた連絡先にコールする。5度目の呼び出し音が鳴るのとほぼ同時に、聞き慣れた明るい声が携帯の向こうから響く。
『――もしもし?』
携帯越しに聞こえる賑やかな声に、瞬矢は口元ににわかな微笑を湛え目を細める。
「かけ直した方がよかったか?」
『――え? ああ、いいよ別に』
一言「分かった」とだけ返し、呆気なく終話する。結局、歩いて30分ほどの場所にある喫茶店で落ち合うことになった。
白い外壁に取り付けられた焦げ茶色をしたウッド製のドアを開ける。
――チリン、チリン。ドアの上部に飾られた、小さな2連ベルの高く涼やかな音色が歓迎する。
伏し目がちに、やや憂いを帯びた黒曜石の如き瞳。一見して掴みどころのない雰囲気を醸し出す彼の容貌は、さっそく周囲の注目を集めた。
だが瞬矢はそんなことなど気にも留めず、すたすたと茜のいる窓際の席へと向かう。
メモの右端には『Level 3』という文字が書き足されてあった。あの時、わずかに聞き取れた言葉を忘れないように瞬矢が自ら書き足したのだ。
携帯を取り、あらかじめ訊いておいた連絡先にコールする。5度目の呼び出し音が鳴るのとほぼ同時に、聞き慣れた明るい声が携帯の向こうから響く。
『――もしもし?』
携帯越しに聞こえる賑やかな声に、瞬矢は口元ににわかな微笑を湛え目を細める。
「かけ直した方がよかったか?」
『――え? ああ、いいよ別に』
一言「分かった」とだけ返し、呆気なく終話する。結局、歩いて30分ほどの場所にある喫茶店で落ち合うことになった。
白い外壁に取り付けられた焦げ茶色をしたウッド製のドアを開ける。
――チリン、チリン。ドアの上部に飾られた、小さな2連ベルの高く涼やかな音色が歓迎する。
伏し目がちに、やや憂いを帯びた黒曜石の如き瞳。一見して掴みどころのない雰囲気を醸し出す彼の容貌は、さっそく周囲の注目を集めた。
だが瞬矢はそんなことなど気にも留めず、すたすたと茜のいる窓際の席へと向かう。
