
【S】―エス―01
第4章 あかねいろ
そして入り口に背を向ける形で茜の対面に座った。テーブルの上に両手をついた瞬矢は、ここまでの経過を簡潔に話す。
「昨日、研究所へ行ったんだが……東雲 暁に関する情報は得られなかった」
だが茜は「そう……」と言い、どこか腑に落ちないといった表情を見せる。
「何か隠してるでしょ?」
瞬矢は、昨夜の出来事を話すべきか否かと迷っていた。
だがもし話せば、やはり彼女を巻き込むことになるかもしれない。そう考え、咄嗟にもうひとつの別な情報を提示する。
「実は……」
いつも以上に改まった瞬矢の言動に、茜も息を飲み言葉を待つ。
「これはあくまでも俺の推測なんだが、親父さんの失踪は今回の件と何か関係あるんじゃないかって思う」
何故ならば、茜の父親の関係者が皆一様に「この件から手を引け」と言っているからだ。
「それを確かめられる人物が、あと1人だけいる」
瞬矢は、手提げ鞄から男の写真を取り出しテーブルの上に差し出す。
「あっ!」
両手で口を覆い隠し肩をすくめる。改めて写真を覗き込み、1トーン声を落として言った。
「この人、こないだの……」
「昨日、研究所へ行ったんだが……東雲 暁に関する情報は得られなかった」
だが茜は「そう……」と言い、どこか腑に落ちないといった表情を見せる。
「何か隠してるでしょ?」
瞬矢は、昨夜の出来事を話すべきか否かと迷っていた。
だがもし話せば、やはり彼女を巻き込むことになるかもしれない。そう考え、咄嗟にもうひとつの別な情報を提示する。
「実は……」
いつも以上に改まった瞬矢の言動に、茜も息を飲み言葉を待つ。
「これはあくまでも俺の推測なんだが、親父さんの失踪は今回の件と何か関係あるんじゃないかって思う」
何故ならば、茜の父親の関係者が皆一様に「この件から手を引け」と言っているからだ。
「それを確かめられる人物が、あと1人だけいる」
瞬矢は、手提げ鞄から男の写真を取り出しテーブルの上に差し出す。
「あっ!」
両手で口を覆い隠し肩をすくめる。改めて写真を覗き込み、1トーン声を落として言った。
「この人、こないだの……」
