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【S】―エス―01

第32章 原点

 暴いた墓の中は思ったよりスペースがあるようだが、日が陰ってきた為、暗く奥の方までは見通せない。


 時刻は午後3時30分を回っている。


「やっぱり見えないな。明かりを」


 茜が置いてあった手提げ鞄の中を探り、そこから懐中電灯を取り出し渡す。


「……んっ? なんだ?」


 渡された懐中電灯で中をくまなく照らし、そしてあるものに気づく。


「これは……」


 右隅に手を伸ばし瞬矢が拾い上げた小さな細い小枝のようなもの。


「……骨?」


 そう、それは紛れもなく生物の骨であった。何か小動物の死骸が紛れ込み、そのまま風化したのだろうか。


 立ち上がり眉根を寄せ、訝りながら手にした直径15センチメートルほどの骨を裏返してみると、


 ――【20051205……】。


 そこには黒字で見覚えのある数字の羅列が刻印されていた。『5』より後の数字は、骨が途中から欠けている為に分からない。


「この刻印、前に見た覚えがある」


 それは以前、屋敷跡の裏山を掘り起こした際に土の中から出てきた骨。


 その骨に刻まれていた数字の羅列と、たった今見つけた骨に刻まれた数字が酷似しているのだ。
 

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