
【S】―エス―01
第32章 原点
初めて足を踏み入れるその部屋は暗く、ただ、奥の方にぼんやりと淡い緑色の光だけが見てとれる。
暗い部屋の中、リンの見つめる先には薄黄緑の溶液に満たされ密閉された巨大なシリンダーがあった。その中には『何か』がおり、端々で大小の泡沫を吐く。
「これ誰? 僕と同じ顔……」
溶液の中では、黒髪の咲羅と同じ齢10歳くらいの少年が静かに眠っていた。
その少年は、シリンダーの外をぐるり取り囲むように設備された照明によって、下方から明るく照らされている。
「『東雲 刹那』。アナタたちのオリジナルでもあり、原点でもあるわ」
そう。シリンダーの中に保管された少年こそ、咲羅たちのおおもと、原点でありオリジナルの『東雲 刹那』であった。
「生きてるの?」
咲羅の問いかけにリンは目を伏せ黙ってふる、と首を横に振った。
「これがセツナ……。僕らのオリジ……ナル」
巨大なシリンダーに保存された『刹那』は、咲羅の言葉に共鳴し応えるかの如くごぽ、と一度どこからともなく泡沫を吐き出す。
(これが、僕の……『僕ら』の原点……)
暗い部屋の中、リンの見つめる先には薄黄緑の溶液に満たされ密閉された巨大なシリンダーがあった。その中には『何か』がおり、端々で大小の泡沫を吐く。
「これ誰? 僕と同じ顔……」
溶液の中では、黒髪の咲羅と同じ齢10歳くらいの少年が静かに眠っていた。
その少年は、シリンダーの外をぐるり取り囲むように設備された照明によって、下方から明るく照らされている。
「『東雲 刹那』。アナタたちのオリジナルでもあり、原点でもあるわ」
そう。シリンダーの中に保管された少年こそ、咲羅たちのおおもと、原点でありオリジナルの『東雲 刹那』であった。
「生きてるの?」
咲羅の問いかけにリンは目を伏せ黙ってふる、と首を横に振った。
「これがセツナ……。僕らのオリジ……ナル」
巨大なシリンダーに保存された『刹那』は、咲羅の言葉に共鳴し応えるかの如くごぽ、と一度どこからともなく泡沫を吐き出す。
(これが、僕の……『僕ら』の原点……)
