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【S】―エス―01

第33章 計画

 

「――っ!?」


 あまりの眩さに、思わず目を細め掌で覆い光を和らげた。


 すぐにそれが自分の手元にあるものと同じ光であると理解し、尚も掌で光を遮りながらその向こうにいる人物を確認する。


 次いで聞こえてきたのは、低音でどこか落ち着いた聞き覚えのある声だった。


「なんだ、君たちか」


 人物が照明をつけ、建物内に巣食う闇は照らされ物影へ音もなく身を潜ませた。代わって建物内の全貌が姿を現す。


「またえらい出迎えだな」


 ぽつり、言葉尻に少しばかりの皮肉を込めて、瞬矢は手元の今だ煌々と光を放つ懐中電灯を消す。


 更に人物も懐中電灯を消したことで逆光もなくなり、その姿が明らかとなる。淡いブルーのシャツに濃紺のネクタイを締めた男性。


「お父さん!?」


 開口第一声。茜が目を丸くして歩み出る。


 そう。この件に関わりの深い人物とは、茜の父親で瞬矢たちを造り出した東雲 暁その人であった。


「君たちから連絡は受けてたが、念の為にね」


 彼――東雲 暁は口の端をつり上げ踵を返すと「さぁ、こっちだ」と軽く手招きし、建物の奥へと誘導する。
 

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