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【S】―エス―01

第33章 計画

 刹那は、咲羅が自分たちの改良型だと直感的に悟り、右足を1歩前に踏み出す。


「……刹那」


 声を荒らげる刹那の肩に瞬矢が手を置いたことで、わずかにだが冷静さを取り戻し、後に続く言葉を呑み込む。


「咲羅?」


 だが、時すでに遅し。図らずも口にした咲羅の名前に、今度は東雲 暁が訝り顔を示す。


「刹那が一緒に連れて来た少年のことよ」


 今までソファに寄りかかり、じっと黙して3人のやり取りを聞いていた茜がここにきて口を挟む。


 「この子もね、同じだったの」そう言いパーカーのポケットから携帯電話を取り出した。


 そして、その画面に表示された咲羅の写真を自身の父親、東雲 暁に見せる。


 彼は渡された携帯に映る楽しげに破顔する咲羅の画像を目にし、一瞬驚きの様相を見せた。


 ――が、その表情もすぐさま消え、眉間の皺は深まり深刻なものへと変わる。


「名前……、つけたのか」


 茜から渡された携帯の画像を見つめ、ぽつり呟く。彼の言いようは、まるで名前をつける行いがいけないこととでも言いたげであった。


「いけなかったかい?」
 

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