
【S】―エス―01
第33章 計画
自分たちと境遇を同じとする少年に、『咲羅』という名前をつけた刹那の心境が分からないでもない。
瞬矢は、両者の間で交わされるやり取りを黙視する。
「私が君たちを造り出した時、名前をつけたかい? 余計な感情はいらない。その為に番号は存在するんだ」
まるで刹那の行いが『愚行』とでも言いたげに説き伏せる。
「誰にだって名前は必要だよ。例え僕たちみたいな『人間』でもね」
対して、東雲 暁の言葉を否定するかのような刹那の発言。
画像を目にした彼が初め驚きを見せたのは、きっと写真の咲羅に表情があったから。
「ねぇ、兄さん」
目線だけで無言の同意を求められ、
「……そうだな」
視線を交わし、静かに頷く。瞬矢の脳裏には、あの屋敷で初めて茜に『りく』と呼ばれた日のことが鮮明に甦っていた。
自分以外の他者に名前を呼んでもらえる、それがどれほど嬉しいことか痛いくらい知っていた。
「兄弟、か……」
同意の視線を交わす2人を見て東雲 暁は「まさか、こうもいい方向へ変わるとは」と口の端に意味深長な笑みを浮かべるのだった。
**
瞬矢は、両者の間で交わされるやり取りを黙視する。
「私が君たちを造り出した時、名前をつけたかい? 余計な感情はいらない。その為に番号は存在するんだ」
まるで刹那の行いが『愚行』とでも言いたげに説き伏せる。
「誰にだって名前は必要だよ。例え僕たちみたいな『人間』でもね」
対して、東雲 暁の言葉を否定するかのような刹那の発言。
画像を目にした彼が初め驚きを見せたのは、きっと写真の咲羅に表情があったから。
「ねぇ、兄さん」
目線だけで無言の同意を求められ、
「……そうだな」
視線を交わし、静かに頷く。瞬矢の脳裏には、あの屋敷で初めて茜に『りく』と呼ばれた日のことが鮮明に甦っていた。
自分以外の他者に名前を呼んでもらえる、それがどれほど嬉しいことか痛いくらい知っていた。
「兄弟、か……」
同意の視線を交わす2人を見て東雲 暁は「まさか、こうもいい方向へ変わるとは」と口の端に意味深長な笑みを浮かべるのだった。
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