
【S】―エス―01
第33章 計画
ほんの一瞬視線を交えただけにも関わらず、見えない手のようなもので羽交い締めにされた感覚。
「瞬矢」
それは、もう何度と聞いた――つい今しがた見た夢のせいか懐かしくも思える鈴の音の如き声。直後、視界を遮る手の向こう側に影が差し、ふっとより一層暗くなる。
「うん?」
手の甲をわずかにずらし生じた隙間から覗き見ると、身を屈め同様にこちらを覗き込む茜がいた。
屈めていた上半身を起こし、すぐさま傍らにしゃがみ込む。体をぴったりと寄り添わせてきた。
「やっぱり、咲羅の後を追っかけてくんだよね?」
やおら切り出したそれは、自分たちのこれからのことを言っているのだろう。「あぁ」とひとつ生返事の後、茜をちらと見やり更にこう続ける。
「別に、ここに残ったっていいんだぞ?」
つり上げた口の端に薄い笑みを交えて。
咲羅とは、たった数日のつき合いであり、ましてや茜は自分たち以上に接点が薄い。
なので何があるのか分からない場所へ危険を冒(おか)してまでわざわざ赴く必要はない。
瞬矢はそう思ったのだ。
「瞬矢」
それは、もう何度と聞いた――つい今しがた見た夢のせいか懐かしくも思える鈴の音の如き声。直後、視界を遮る手の向こう側に影が差し、ふっとより一層暗くなる。
「うん?」
手の甲をわずかにずらし生じた隙間から覗き見ると、身を屈め同様にこちらを覗き込む茜がいた。
屈めていた上半身を起こし、すぐさま傍らにしゃがみ込む。体をぴったりと寄り添わせてきた。
「やっぱり、咲羅の後を追っかけてくんだよね?」
やおら切り出したそれは、自分たちのこれからのことを言っているのだろう。「あぁ」とひとつ生返事の後、茜をちらと見やり更にこう続ける。
「別に、ここに残ったっていいんだぞ?」
つり上げた口の端に薄い笑みを交えて。
咲羅とは、たった数日のつき合いであり、ましてや茜は自分たち以上に接点が薄い。
なので何があるのか分からない場所へ危険を冒(おか)してまでわざわざ赴く必要はない。
瞬矢はそう思ったのだ。
