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【S】―エス―01

第34章 夢の断片

 
 ――午前1時30分。


 静かに数回ドアを叩く音が聞こえ、開けるとそこには予想どおりの人物、刹那の姿が。


「兄さん、今の……!」


 夜中ということもあり、声を潜めながらもその口調からは緊迫感が滲み出ていた。


「……ああ、分かってる」


 立て続けに同じようなことがあったのは偶然でない。それは多分にして刹那も感じていることだろう。


 そう思った瞬矢はたった一言、端的に肯定しドアを閉める。


「ねぇ、なんのこと?」


 たった1人、茜だけは昨日の件も伝えられていない為、状況の理解に苦しんでいるようであった。


 それを目視した2人は、目的地も近いことにそろそろ頃合い――と、共に視線を交わし頷く。




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