
【S】―エス―01
第35章 綻び
掴んでいた首を放し両手を抑え込むと、右手でリンの体の線を上から下へ準え、強引に脚を開かせた。そして自身の体をその肢体に滑り込ませる。
「あぁ……!」
瞳を潤ませ頬を紅潮させたリンは、掴まれた両手の指先1本までをも強張らせ、開いた口から短く何度も色のついた息を吐く。
この時、彼の脳裏によぎっていたもの、どのような考えを巡らせていたのかは知れない。
ただ込み上げる支配欲と、それを発散する為だけのエゴイズム。尚も突き上げ、犯し、行為を繰り返す。
――
気づいた時、彼の眼下にはコンクリートの壁に寄りかかり項垂れるリンの姿があった。
「……リン?」
またやってしまった――そんな思いが彼の頭の中を支配する。
信じられないものでも見るように、虚ろな瞳で空を捉え、未だに整わない呼吸を繰り返す彼女の名前を呟く。
(これじゃ、あの男と同じだ……!)
今の自分自身にある男の面影が重なる。そして自身の仕出かした行為に、ハロルドは左手で口を覆い後ずさる。
外したはずの、左手首の腕時計の秒針を刻む音だけが、やけにうるさく響いていた。
**
「あぁ……!」
瞳を潤ませ頬を紅潮させたリンは、掴まれた両手の指先1本までをも強張らせ、開いた口から短く何度も色のついた息を吐く。
この時、彼の脳裏によぎっていたもの、どのような考えを巡らせていたのかは知れない。
ただ込み上げる支配欲と、それを発散する為だけのエゴイズム。尚も突き上げ、犯し、行為を繰り返す。
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気づいた時、彼の眼下にはコンクリートの壁に寄りかかり項垂れるリンの姿があった。
「……リン?」
またやってしまった――そんな思いが彼の頭の中を支配する。
信じられないものでも見るように、虚ろな瞳で空を捉え、未だに整わない呼吸を繰り返す彼女の名前を呟く。
(これじゃ、あの男と同じだ……!)
今の自分自身にある男の面影が重なる。そして自身の仕出かした行為に、ハロルドは左手で口を覆い後ずさる。
外したはずの、左手首の腕時計の秒針を刻む音だけが、やけにうるさく響いていた。
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