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【S】―エス―01

第35章 綻び

 しばらくの後、地下へ続く入り口から出てくるハロルド。彼は左手で自身の髪を押さえるように掻き上げ、肩でひとつ息をつく。


 そして、左斜め上で彼を見下ろす人影がひとつ。


「ふぅん」


 階段の2階部分、踊り場の手摺りには、ぶらぶらと素足を投げ出し腰かけその光景を眺める咲羅の姿があった。


 その口元には、うっすらと笑みを湛えている。




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