
【S】―エス―01
第5章 接触
きっぱりと断言した香緒里の言動に対し、山田はショックをあらわにする。
「何もそんなにはっきり……」
「……ん? 今なんか言った? ほら、行くわよ!」
顔だけを山田に向け、「早く来い」とばかりに左手で2、3度ひらひらと扇ぎ目の前の玄関をくぐる。
「えっ!? あっ、はい!」
はっと我に返り、慌てて香緒里の後に追随した。
香緒里たちは、階段脇にあるエレベーターで3階の一室へと向かう。
部屋の手前までやって来た時のこと。ドアが開き、中から1人の少女が香緒里たちの脇をすり抜け階下へと走り去ってゆく。
(彼女は確か……)
すかさず山田に合図を送り、気づいた彼はひとつ頷き後を追う。
残った香緒里は、開け放されたドアから顔を覗かせ立て付けに背中を預けると腕組みし声をかける。
「喧嘩?」
その問いかけに斎藤 瞬矢は、真向かいのソファに座り頬づえをついた状態でやや不機嫌そうにそっぽを向き答えた。
「別に……」
「何もない訳ないでしょ。彼女のあの様子……」
そう言って首だけで振り返り、階段の方を見やる。
「何もそんなにはっきり……」
「……ん? 今なんか言った? ほら、行くわよ!」
顔だけを山田に向け、「早く来い」とばかりに左手で2、3度ひらひらと扇ぎ目の前の玄関をくぐる。
「えっ!? あっ、はい!」
はっと我に返り、慌てて香緒里の後に追随した。
香緒里たちは、階段脇にあるエレベーターで3階の一室へと向かう。
部屋の手前までやって来た時のこと。ドアが開き、中から1人の少女が香緒里たちの脇をすり抜け階下へと走り去ってゆく。
(彼女は確か……)
すかさず山田に合図を送り、気づいた彼はひとつ頷き後を追う。
残った香緒里は、開け放されたドアから顔を覗かせ立て付けに背中を預けると腕組みし声をかける。
「喧嘩?」
その問いかけに斎藤 瞬矢は、真向かいのソファに座り頬づえをついた状態でやや不機嫌そうにそっぽを向き答えた。
「別に……」
「何もない訳ないでしょ。彼女のあの様子……」
そう言って首だけで振り返り、階段の方を見やる。
