
【S】―エス―01
第37章 傀儡
人物は、ふっと吐息のようなかすかな笑みを漏らし、ダークグレーのフードの襟首に手をかけ口を開く。
「ばれてた?」
手足の代わりに肩をくっと竦め、部屋の入り口へ佇む人影に向かい答える。
「勿論、最初からずっと気がついてたさ」
すると人影は、小柄な体格を膝の辺りまですっぽりと覆い隠してしまえるそれを脱ぎ捨てた。
「――リン」
そう、あの暗い通路で刹那に存在を気づかれ、それでも尚、容易に背後を取ることができた人物。その人物こそリン・メイ。
刹那は、フードの人物が彼女だと分かっていた。だからこそ反応が遅れ、判断を鈍らせたのだ。
彼女は自身が脱ぎ捨て、コンクリートの地面に落ちたダークグレーのフードを踵で踏みつけながら、刹那の前方へ回り込む。
「こんなことして、君の目的は?」
(瞬矢たちに、連絡を……)
そう思った刹那は手首を捻り指先を這わせ、ようやく届くズボンのポケットから携帯電話を手探りで取り出す。
気づかれまいとリンを見据えながら指先に神経を集中させ、携帯を操作する。
「ワタシの意思じゃないわ」
「ばれてた?」
手足の代わりに肩をくっと竦め、部屋の入り口へ佇む人影に向かい答える。
「勿論、最初からずっと気がついてたさ」
すると人影は、小柄な体格を膝の辺りまですっぽりと覆い隠してしまえるそれを脱ぎ捨てた。
「――リン」
そう、あの暗い通路で刹那に存在を気づかれ、それでも尚、容易に背後を取ることができた人物。その人物こそリン・メイ。
刹那は、フードの人物が彼女だと分かっていた。だからこそ反応が遅れ、判断を鈍らせたのだ。
彼女は自身が脱ぎ捨て、コンクリートの地面に落ちたダークグレーのフードを踵で踏みつけながら、刹那の前方へ回り込む。
「こんなことして、君の目的は?」
(瞬矢たちに、連絡を……)
そう思った刹那は手首を捻り指先を這わせ、ようやく届くズボンのポケットから携帯電話を手探りで取り出す。
気づかれまいとリンを見据えながら指先に神経を集中させ、携帯を操作する。
「ワタシの意思じゃないわ」
