【S】―エス―01
第37章 傀儡
◇2
同じ頃、瞬矢と茜はコンクリートの通路を進んでいた。
四方に道が枝分かれしたそこは、数メートル間隔に白い照明灯が設置され、先ほどの通路よりは明るい。懐中電灯の明かりを消し、ただ真っ直ぐ前へと進む。
しばらく進み続けた末、やがて瞬矢たちの目の前に現れたのはひとつの部屋であった。ドアに鍵はかかっておらず、半開きになっている。
――『何かあったら連絡を』。
どちらともなく交わした言葉がよぎるが、まだその『何か』があった訳ではない。実際、何かあってからでは遅いのだが。
刹那への連絡は、もう少し中を調べてからにしようと思った。
まず目に留まった机の引き出しを探る。
机の上に伏せられた額入りの写真。そこには、1人の男と共に瞬矢たちが画像で見た人物――ハロルド・ドルトが写っていた。
「!」
その写真の下にもう一枚、別の写真があることに気づく。下にある写真をスライドさせ額から取り出す。
写っていたのは金髪の青年。
青年はハロルドなる人物に若干の面影があり、そして手前の写真に写っている彼よりも幾ばくか若い。恐らく学生の写真である。
「ん?」
同じ頃、瞬矢と茜はコンクリートの通路を進んでいた。
四方に道が枝分かれしたそこは、数メートル間隔に白い照明灯が設置され、先ほどの通路よりは明るい。懐中電灯の明かりを消し、ただ真っ直ぐ前へと進む。
しばらく進み続けた末、やがて瞬矢たちの目の前に現れたのはひとつの部屋であった。ドアに鍵はかかっておらず、半開きになっている。
――『何かあったら連絡を』。
どちらともなく交わした言葉がよぎるが、まだその『何か』があった訳ではない。実際、何かあってからでは遅いのだが。
刹那への連絡は、もう少し中を調べてからにしようと思った。
まず目に留まった机の引き出しを探る。
机の上に伏せられた額入りの写真。そこには、1人の男と共に瞬矢たちが画像で見た人物――ハロルド・ドルトが写っていた。
「!」
その写真の下にもう一枚、別の写真があることに気づく。下にある写真をスライドさせ額から取り出す。
写っていたのは金髪の青年。
青年はハロルドなる人物に若干の面影があり、そして手前の写真に写っている彼よりも幾ばくか若い。恐らく学生の写真である。
「ん?」